団塊の世代も退職を迎えるようになった近年、老後の住まい方も選択肢が増えているようです。主な選択肢とそれぞれ における留意点を見ていきます
1: 新たに取得するのであれば、当然ながら将来を見越しての物件の選択あるいは設計となるしょうが、すでに自宅に お住まいの方は、身体が思うように動かなくなった場合を想定した間取りにしたり、バリアフリー化を図るなどのリフォームが必要に なります。後悔しないように慎重に事を運ばなければなりませんが、リフォームは大仕事ですから基本的な改造は早目に着手して おいた方がよいでしょう。資金計画については更に早い時期から準備しておきたいものです
2: 買い物や通院に便利で、管理が容易な市街地のマンションへ転居する人も増えています。この場合も要介護時を 想定した物件選びと、先々の生活資金に余裕を持てる範囲内とすることが重要です。取得や買い替えにおける税制上の優遇措置も ありますが、その適用にこだわって負債を抱えることには慎重を期すべきでしょう。周辺環境については出来るだけ慎重に情報収集する必要 がありますが、それでも住んでみないとわからないことがあります。自宅を貸し出して、自らも賃借で入居する選択肢もあります
3: 定年帰農を実現される人もいますし、そこまでしないまでも田舎で質素にのんびりと過ごしたいと願っている 人は多いようです。ここで気を付けたいのは(1)身体に変調をきたしたり、不自由になっても暮らしてゆける最低限の環境があるか、 (2)地域コミュニティーにとけ込めるか、(3)何をしたいのか明確になっているか、ということです。漠然とした憧れではなく、現実の分析と 将来の展望、明確な目的意識が無いと挫折しかねません
4: 上記3と概ね同様の注意点となりますが、それ以上にコミュニケーションをとることが難しく、慣習も異なるため トラブル発生の危険性が高まります。法律も社会保障制度も異なります。現在は物価が安く住みやすい環境でも、それが今後も継続するとは 限りません。いくら風光明媚でも、いつ災害に見舞われるか知れませんし、治安が悪化する懸念もあります。そのような場合の 保障はどうなるのか、などを考えるとかなりの冒険になりますから、まずは国内に拠点を残しながらロングステイし、現地でよく調査する 段階を踏んだ方がよいでしょう
5: 健康な高齢者が任意で入居できる施設として有料老人ホームがありますが、入居費用が 高額になりがちです。また、個室とはいえ共同生活の要素が多く、積極的にコミュニケーションを取りたい方に向いているかもしれません。質も玉石混交の状態ですので 、コストとサービスの詳細と実態、入居一時金の取り扱いについてなど、あらゆる場面を想定して確認しておくことが必要です。 有料老人ホームは利用権を購入するものですが、物権ごと買取をする分譲型ケア付マンションや、バリアフリー設計のサービス付き高齢者向け 住宅もあります
要介護となることは考えたくないことではありますが、かなりの確率で発生します。その事態を想定したときに、現居宅での介護を望まない、あるいは困難な状況 である場合、あらかじめ要介護状態に備えられる住まい(施設)に入居することも選択肢に入ってきます。要介護認定が入居要件となる施設や、家庭事情、身体機能、低所得などにより住まいの支援が 必要な方向けの施設を除けば、有料老人ホーム(「介護付き」または「住宅型」)、サービス付き高齢者向け住宅、シニア向け分譲マンションといった選択肢があります。 要介護への備えという視点で見れば介護付き有料老人ホームが 安心ですが、「住宅型」やサービス付き高齢者向け住宅でも「介護付き」や病院が併設していて、ある程度の介護には対応できる場合もあります。 逆に介護については外部業者利用で居宅介護と大差がないケースもあるようで、サービスや環境については個別に十分な確認が必要です
サービス付き高齢者向け住宅は賃貸契約となりますが、食事の提供を受けられるものもあるなど多様化しています。 また、シニア向け分譲マンションは高額となりがちな上、資産としては流動性に懸念があるケースもあるようですので注意が必要です。
住まい(施設)を選ぶにあたっては、自分の性格や暮らし方への希望、 もちろん予算とも照らし合わせて適合する施設をじっくり選びたいものです
まずは地域を決め、自治体が発表している施設リストから候補をピックアップし、情報を集めます。ネットにも検索サイト が複数あり、そこから資料の請求も出来ます。情報を整理して候補施設の比較表を作成します
許容範囲の複数候補を複数人で、できれば複数回訪問・見学し、気に入った施設は さらに体験入居で確認します
契約書の内容が口頭説明と食い違わないかを十分確認の上、契約します