ファイナンシャルプランナー・オフィス

G-Life Assist

ホームへ

相続対策

相続・継承における課題

一般的には次のような事項が課題として挙げられます

  1. 遺族間で争いごとが起きるようなことがなく、スムーズに資産を継承できるか
  2. 遺族が相続税の支払いに困ることはないか
  3. 事業の継承者は決まっているか、また、スムーズに継承できるか
  4. 被扶養者のその後の生活に問題はないか
  5. お墓や祭祀、その他家系における伝承事項の継承に問題はないか

1:遺産の多少に拘わらず、分割の仕方に不満が生じると骨肉の争いを 呼ぶことになります。遺産を遺す者は それを避けなければなりません。そのためには極力、皆が許容しうる配分ができるよう、財産の形態を調整してくとともに、遺言により それを指示しておきます

2:相続税を試算し、遺族に負担が発生する可能性がある場合、 対策を講じておきたいものです。対策には(1)課税評価額の減額と(2)納税資金の準備があります。 具体策として (1)については、贈与税制もにらみながらの生前贈与や、評価額を下げる優遇制度の利用、自社株の株価調整など、 (2)については、売却による現金化、生保の活用などが考えられます

3:出来るだけ早目に継承者を決め、本人及び周囲の同意を得ておくとともに、 後継者の教育、自社株の移行対策、業務の引継ぎを行っておきます

4:配偶者には相続税の優遇制度がありますが、二次相続のことも考慮しなければ なりません。また、配偶者の余生をまかなう生活費を遺すだけでは払拭しきれない不安もあります。それらを考慮し、自らに代わって、 その後の扶養を託せる段取りをしておきたいものです

5:地域や家族状況によっては問題となるケースもあるようです。早目の話し合いで了解を取り付けておく必要が あります

ページトップへ

スムーズな遺産分割のために

法律で定められた相続人の範囲とそれぞれの相続割合、更に配偶者と直系血族が持つ遺留分 (=最低限の分割 を受ける権利)について認識をしておく必要があります。遺言で指定する割合は法定相続割合に優先しますが、法定の割合とかけ離れた 割合で指定するときは、その根拠に合理性があり、各相続人の同意が得られやすいものとすべきでしょう

法的にも合理性を担保する考え方があります。特別受益者や寄与分権利者の考え方です。 特別受益者とは被相続人から 生前に結婚や生計の資金補助として贈与を受けていた者を言い、その贈与分も遺産に含めて分割し、特別受益者はその分割分から受けてい た贈与分を差し引いた残りを相続するという考え方です。寄与分権利者とは、被相続人名義の 財産が、明らかにその相続人の功績に より維持あるいは増加した場合に、その寄与分(維持・増加分)はその相続人が寄与分権利者として優先的に受け取り、その残りが 相続財産として分割される、という考え方です。実態としては、このほかにも分割割合に影響を与える合理的根拠はたくさん有り得ます

分割が難しい不動産等が遺産の大半を占めていたり、分散させたくない自社株を1相続人に遺したいとき などは偏った相続割合となる可能性があります。このような場合は生命保険金の形で他の相続人に遺したり、あるいは当該相続人に 代償分割の資金として保険金を受領させる方法などがあります。代償分割とは特定の相続人が多くの遺産を 取得し、その代償として自らの資産を他の相続人に支払うものです

これらは公平な分割のための手法ですが、これとは別に、自社株を一手に相続した者の相続税支払いの問題が ありました。そこで、平成21年度税制改正において中小企業のスムーズな事業継承に資するため、議決権株式の3分の2に達するまでの相続分 につき、80%の納税猶予が認められました。尚、生前贈与については同様の限度までの全額が猶予対象となりました

遺産として遺すのではなく、生前贈与によって分配を確定させてしまう方法も あります。税制を踏まえた計画的な贈与により、遺産を減らすとともに、推定相続人の生活支援、納税資金の移転、更には 財産値上がりのリスク回避効果も狙えます。 特に賃貸物件など、収益性のある資産の贈与はその効果が大きく、検討の価値があります。 同じ贈与者からの贈与が同一年に110万円を超えた場合には、その超過分に贈与税が課されます(暦年課税の贈与 )。ただし、定期贈与と みなされると総額に課税されることもあるので注意が必要です。また、相続時精算課税制度を利用した 場合、累計2500万円まで、その時点での課税は されず、超過分に一律20%の課税となります。ただし、相続が発生した場合、暦年課税の贈与は発生前3年以内のものが相続財産に加算 されるのに対し、相続時精算課税制度を利用した贈与は年限なく遡って加算され、税の精算がなされます。ただし、居住用不動産の配偶者 への贈与は、基礎控除額110万円とは別に2000万円までが非課税となり、且つ、相続発生時にも加算されません

生命保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、相続人数×500万円が 非課税となります。有効な制度ですが、遺産額・相続人数等によっては相続人の所得税対象となるような掛け方の方が税率の面で 有利となる場合もあります。その場合、保険料相当分を相続人へ贈与し、相続人が契約者となります

また、近年は若年世代への資産移行を促進すべく、直系尊属から子や孫への贈与について税制上優遇する制度が設定されているので、 これらを利用することで早めに資産を減らしながら、「分割問題」にも取り組むことができます

ページトップへ

遺言作成上の注意

相続における課題については、出来る限り生前に対策を講じておきたいところですが、それが叶わない場合は 遺言により意思を遺族に託します。通常の遺言には方式の違いにより3種類があり、それぞれ長所・短所があります

  1. 自筆証書遺言:最低限の定められた書式に従い、自書により何度でも書き直せる。内容も存在も 内緒に出来るが、保管に留意しないと紛失・廃棄・改ざんや、発見されずに無に帰す危険性がある
  2. 公正証書遺言:2人以上の証人が立会い、公証人が作成するので、有効性や保管については心配ないが、 相続に係る人以外への証人依頼や公証人との打ち合わせ、各種資料の準備など、手間と費用(最低数万円から)が掛かり、且つ 変更の都度、同様の手続きを要する
  3. 秘密証書遺言:内容は秘密に出来るが、2人以上の証人立会いで公証人に提出するので存在は 明らかとなる。署名以外は自筆でなくてもよい。費用は1万円程度

意思が正確に伝わり、執行されるために留意しなければならない点があります
(自筆証書)遺言作成上の留意点

  1. まず、法定相続人とすべての遺産の評価額を確認する
  2. 内容・日付も含めすべてを自書し、署名捺印の上、封印する
  3. 文言があいまいにならぬよう、文例などを見ながら出来るだけ法律用語で記載する
  4. 複数枚となる場合はページ番号を付記し、袋綴じあるいはホッチキス止めして契印を押す
  5. 内容を変更・訂正する場合は規定に従い厳密に行う。再作成した場合は、混乱防止のため以前作成分を破棄する。 一部のみ訂正する旨の遺言を追加作成することも可能
  6. 遺留分を侵害しないように配分すること
  7. 法定割合とかけ離れている場合は理由を付言しておく
  8. 遺言執行者(できれば相続人以外で信用や発言力があり、執行可能な者)を指定し、相応の手数料も明記しておく
  9. 法的拘束力を持つ記載事項は(1)相続人の排除(2)相続割合や分割方法の指定(3)遺贈(4)特別受益者の持ち戻し免除 (5)遺言執行者の指定(6)寄付や信託設定(7)後見人の指定、などに限定されている。葬儀の仕方やお墓についての希望など、 拘束力の無い事項は、エンディングノートにまとめて記載して遺す方法もある
  10. 破棄・改ざんを防止し、且つ死亡時に即刻手続きに取り掛かれるように、相続人以外で死亡がすぐに知らされる人に保管を依頼する
  11. 封筒には、「開封せずに即刻家裁にて検認を受ける」よう指示文を記載しておく

ページトップへ

コラム/エンディングノート