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医療保険・介護保険・がん保険

医療保険の必要性と日額の検討

<高額療養費制度>

国保であれ健保であれ1ヶ月の医療費が一定額を超えると申請により還付されます。その「一定額」は年齢と 年収により異なり、具体的な金額・計算式は、70歳未満については<TOPICS>(平成27年改定)を、 70歳以上は<退職後の社会保険>を参照ください

所得区分C(総所得金額210万円超600万円以下、あるいは標準報酬月額28〜50万円)の場合、医療費支払いが100万円になっても実質負担は87,430円で済みます。30日で割ると1日2,914円です。 さらにこの自己負担限度額は4ヶ月目から44,400円になります

<差額ベッド代>

差額ベッド代は「患者の希望あるいは同意に基づき特別療養環境室に入院した場合に、はじめて病院が患者に請求できる」 こととされており、十分な説明や明確な同意無しに特別療養環境室に入室させて、料金を請求することのないよう厚生労働省の通達が 出ています。治療の必要上として病院の判断で特別療養環境室に入室させる場合も、特別料金を請求してはいけないことになっています。 ということは入院する皆さんが望まなければ、差額ベッド代は基本的に発生しないことになります

<高度先進医療費>

該当する施術を受ける場合は保険対象外になるため思わぬ出費となりますが、それは本来、医療保険の入院日額で 上乗せする性格のものではありません。むしろ、高度先進医療に対し一定限度内で実費払いする商品や、高度先進医療 を含め医療費の自己負担分そのものを実費払いする商品の方が、このリスクに対してはしっくり来るように思えます

<減収リスクへの対応>

労働者が勤務中の事故により休業した場合、労災保険から休業補償給付が給付されます(特別支給金を含めて給付基礎日額の80%) 。勤務中でなければ、健保から標準報酬月額の3分の2相当額が、傷病手当金として給付されます。したがって、休業期間中に 全く給与が支給されない場合、前述の支給額でも不足する分が減収となります。小規模個人事業主の場合、本人の就労不能がどの程度 減収につながるかは個別に異なりますが、いずれにしても上記のような給付が通常は無いため、リスクが大きいと言えます。 この減収リスクに備えて、医療保険の日額を上げるというのは違和感があります。入院、通院に係らず、長期休業による減収に備えるには、 損保で扱っている所得補償保険の方が適当と思われます

<結論>

以上のように見て来ますと、 医療費だけなら日額は3,000円でも足りることになります。それに入院時の身の回り品代・食費一部負担や家族の 来院交通費、その他雑費を考慮しても5,000円を目安とすることでも過少とは言えないのではないかと思われます。それに高度先進医療を必要とした場合に備えた保険金があれば よいでしょう。ところで、そもそもその必要性を考えてみるに、日額5,000円を一般的な 支払い限度日数の60日分受け取っても30万円です。3,000円の保険料を10年間支払えば36万円です。こう計算してみると、 緊急予備費のストックが十分あれば、保険に転嫁するほどでもないとの判断もありえます。 ただ、高度先進医療の技術料は数十万円から高額な場合で300万円を超えますので、確率はとても低いのですが、 このためだけの保険がないだけに、医療保険加入の判断ポイントとされるケースがあるかもしれません。 もちろん、健康に不安があったり、緊急予備資金のなく、リスクに備えるコストを平準化したい人になどには 加入の価値があるでしょう

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医療保険の選択

医療保険に加入するとして、どのようなものがよいでしょうか

生命保険(死亡保障)の特約として付帯する方法もありますが、主契約が終身でも医療特約は80歳までなどと制限がある 場合が多いので注意が必要です。また、主契約の死亡保障の必要性が減少した場合に、解約すれば医療保障もなくなり、 減額するには医療日額も減額しなければならないなど、主契約に拘束されますので不都合が生じます

単独商品の医療保険にもいろいろあります

従来からの国内生保の場合、他の保障と組み合わせるなど保障を厚くしているだけに、概して掛け金の高い ものが多いようです

外資系の生保も補償内容が各社で多少異なります。いろいろと特約が 付帯されて掛け金が高目のものより、シンプルで安いものがよいと思います。まず、累計の保険料差額を計算し、その特約が 極めてレアなケースへの備えではないか、保険転嫁するほどの補償額かなど、一歩引いて検討してみることをお勧めします

損保の中には日額3,000円の基本契約に治療実費給付を300万円限度に特約付帯できるものもあります。 この場合、日額部分は治療費以外の諸雑費への手当てとなります。合理的な保険ですが、加入については保険料との関係で各位の判断です

共済では、こくみん共済、県民共済、CO-OP共済のチラシによく接します。医療をメインにした商品や 特約となっているものなどがありますが、民間保険会社に比べ掛け金が安いことが多く、終身もあるので加入を検討する際は チェックしたい商品です

保険期間は、今後の医療制度改革が不透明であることも考えると終身の方が安心でしょう。 また、老後の保険料負担を避けたい場合で、保険料の短期払い済み制度があるなら、それも検討する価値があるでしょう

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介護保険の必要性と種類

生命保険文化センターの調べ(2021年)では80〜84歳の26.4%、85歳以上の59.8%が要介護状態とのことです。 公的介護保険制度がありますが、1割は自己負担となりますし、認定された範囲以上のサービスを利用する場合、その分は 全額自己負担になります。また、介護状態は通常の疾病よりも長期になりがちで、 面倒を見てくれる家族がいない場合はもちろん、いる場合でもその家族への負担を考えると、せめて財政的な余裕がほしいところです

公的介護保険制度でも1ヶ月の自己負担が一定額を超えた場合、その超過分は申請により 還付されます。金額は一般の方(住民税課税所得380万円未満)で、44,400円ですので、民間の保険で手当てをするのは、この自己負担額と 公的保険の対象外となる上乗せ・横出しサービス費用や食費・施設居住費になります(参照 » 高額介護サービス費

これらに対し貯蓄で備えるのか、民間保険で手当てするのか、を検討する場合にポイントになるのがリスクの最大値が つかみにくいということです。月々の負担は重大でなくても、介護状態がどれだけ続くのか予想が難しいためです。 このようなリスクに対し貯蓄で備える場合、余裕を持ってなどと考えると設定目標が大きくなります。かといって少なくては不安です。 その点、民間保険は介護状態が続く限り無期限で保険金を受給できるものが多いので、支払い保険料だけ準備すればよいことになります

民間の介護保険にはどのような特徴や種類があるのか見てみましょう。掛け方としては次の3種類です

  1. 終身保険などに特約として付帯する方法
  2. 単独商品(生保・損保・共済)
  3. 終身保険・個人年金保険などの保険料払い込み満了時に介護保障へ移行する方法

給付方法としては、介護状態認定時に一時金、 その後、定額を無期限で給付するものが多いのですが、日常生活をどれだけ独力でできるかを判定する「ADL等級」により給付額 を段階的に変えるものもありますし、また、損保の中には、サービス利用料の自己負担分や介護用品購入費、バリアフリー改装費用などを 実費払いするものもあります

要介護度の認定基準は公的介護に準ずるもの、保険会社独自設定のもの、さらにその 併用もあります。給付要件の介護度も 商品により、軽度から対象とするもの、より重い介護度から対象となるものなど様々ですので確認が必要です

通常、介護状態が180日継続することが給付の要件となっていますが(待機期間)、短い会社では30日、全労済では 1年など様々です。尚、いずれも給付は遡及してなされます

介護状態になると、その後の保険料支払いを免除される商品、あるいはその特約が任意付帯となっているものなど がありますので、その点も確認した上で保険料を比較しましょう

保険期間は定期と終身がありますが、当然ながらリスクは右肩上がりに高まるので終身 が安心です。終身でも保険料は終身払いと短期払い済みがあります。支払いを早目に済ませれば安心ですが、 上記のとおり保険料の支払い免除特約が付いている場合は、保険料ファンドを確保しつつ終身払いを選択した方が合理的といえます

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がん保険加入の検討

日本人の死亡原因の1位は「がん」です。医療の進歩により治癒率は上がっているのですが、 その進歩により治療費が高額化している面もあります。健保の対象となる医療については、前述のとおり高額療養費制度により一定 歯止めが掛けられていますが、粒子線治療など、高度先進医療に該当する治療を行うこととなった場合には、その技術料が全額自己負担となるため高額になります。 粒子線治療費だけで、がん治療費全体の91%を占めるとのデータがあり、高度先進医療対象の施術が 高額負担の要因となっていることが窺えます。また、近年の傾向としては、入院期間は短縮され、通院および在宅療養の比率が 高まっていること、治療以外の代替療法の負担が増えていること等が挙げられます

よって、がん保険を検討する場合は、高度先進医療に対する保障があるか、非入院時の負担にも対応できるか、 という視点が必要です。高度先進医療については、医療保険の特約で手当てされていれば、別途の手当ては不要になります。非入院時の 療養費については「通院日額」や「退院後療養給付金」で対応している商品が多いのですが、通院も含め、医学的に認められた一定の治療に対して 実費を補償している損保商品もあります。高度先進医療や未承認の抗がん剤投与など、自由診療扱いの治療費も実費支給されますので、 より制約が少なくなります。ただ、対象とする通院治療は「手術または先進医療を伴うもの」「退院後の一定期間のみ」などと限定されていたり、 代替療法には対応できないなど、まだまだ十分なカバーとは言えませんし、5歳刻みで保険料がアップするため ライフプランに組み込みにくいなど、改善の余地がありそうです

がんには治療費負担に特徴的な傾向がありますが、がんも医療保険の対象ですから、将来の傷病リスクに対しては、 「医療保険」・「がん保険」・「貯蓄での備え」を、どのように選択、組合せするのか検討することとなります。また、がんだけでなく、心疾患・脳血管疾患 を加えた三大成人病に重点を置いた商品などもあり、これも検討の価値があるでしょう

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