雇用保険は労働者を一人でも使用する事業者は加入することとなっており、パートタイマーは1週間の 所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用が見込まれる者が対象となります。なお、ここでは主な項目の概要のみを掲載していますので、 詳細は厚労省のサイト等でご確認ください
求職者給付(基本手当)
離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上(失業事由が倒産・解雇などの特定受給資格者や、雇い止めなどによる特定理由離職者 は1年間に6ヶ月以上)あることが受給要件となります。離職後1年を期限として、各々定められた所定給付日数分まで受給できます。 所定給付日数は離職理由・被保険者期間などにより定められています。受給できる日額は直近6ヶ月の平均賃金日額の45〜80% ですが、金額の上限下限も定められています。尚、上述の期限1年については、所定の研修を受講中の場合は終了まで延長できますし、 定年退職後2ヶ月以内に申請することでも最大1年間延長できます。また、出産・育児・傷病のために30日以上就業不能の状態が続く場合は、最大3年間延長できます
職場から離職票を受領し、ハローワークへ持参して求職の申し込みをします。その日から7日間の待機期間を経て、 さらに通常2ヶ月の給付制限期間の後、受給期間の開始となります。ただし、上記「特定受給資格者」「特定理由離職者」には給付制限期間がありません。 受給期間がスタートすると4週間に一度、定められた日にハローワークへ行き、未だ就職していないことと、求職活動をしていたことを届け出ることで 過去4週間分の手当を受給できます。求職活動には認定されたセミナーの受講なども含まれます
就職促進給付
上記「基本手当」を所定給付日数の3分の1以上残して、常用雇用等の形態で就職した場合、再就職手当が支給されます。
常用雇用等とは、雇用保険の被保険者として就職する場合や、独立開業して雇用保険被保険者を雇用する場合を指します。
支給額は
支給残日数3分の1以上:残日数×基本手当日額×60%
支給残日数3分の2以上:残日数×基本手当日額×70%
同様に、残日数が3分の1以上で、かつ、45日以上あり、「常用」に該当しない場合は「就業手当」が支給されます。
支給額は
基本手当日額×30%×残日数内での実就業日数
教育訓練給付
被保険者期間3年以上の者(初めての受給の場合は当面1年以上で可)は勤務中だけでなく、離職後1年以内であれば 指定教育訓練費に対し補助を受けられます。補助割合は20%で上限10万円となっています(一般教育訓練給付)。さらに、中長期的キャリア形成に資する教育訓練を対象とし、 専門実践教育訓練給付制度も設定されました。この制度も被保険者期間3年以上(初回は2年以上)を条件に、 訓練費の50%(年間40万円限度・最長3年間)が補助されます
雇用継続給付
高齢者や育児休暇取得者・介護休暇取得者などの雇用継続を目的として、高年齢雇用継続給付・育児休業給付・ 介護休業給付があります
年金受給開始年齢の引下げ、労働力人口の減少等を背景に、定年年齢の引下げが政府施策のもとに進められ、 相応の普及が見られますが、給与は一般的に60歳を過ぎると下降曲線に入ります。そこで、年金受給開始までの支援制度として 高年齢雇用継続給付制度があります
給付には2種類あります
60歳まで勤務できることが前提ではありますが、60歳を過ぎて継続勤務する場合や、退職して再就職する場合 には覚えておきたい給付制度です
また、65歳まで勤務の後、退職して求職者給付の受給申請をした場合、一般の扱いとは異なる 高年齢求職者給付金 の対象となり、基本手当日額50日分の一括支給となります(被保険者期間1年以上の場合)。64歳で退職し受給申請した場合は、通常の所定給付日数150日分まで 受給可能ですので、それも含んで決断された方がよいでしょう
もうひとつ、忘れてはいけないことに年金との支給調整があります。つまり、雇用保険の求職者給付を受給している 間は、60歳代前半の老齢厚生年金(特別支給や繰上げ)が支給停止となりますので注意が必要です(繰上げしている老齢基礎年金は支給されます)
アルバイト・パートを含めすべての労働者を対象に、勤務中及び通勤途上の災害を保障する制度で、保険料は 全額事業主負担。中小企業事業主や一定業種の自営業者も、申請により特別加入者として同様の給付を受けられます
給付種類 | 給付の概要 | 備考(特別支給金) |
---|---|---|
療養給付 | 業務に起因する傷病に対し、指定病院において無料で治療を受けられる | やむを得ず指定外病院で 治療を受けた場合は、立替払いの上、申請により費用を受給する |
休業給付 | 療養のための欠勤に対し賃金が支払われない場合に、給付基礎日額の60%が 支給される | 休業特別支給金(給付基礎日額の20%) |
傷病年金 | 1年6ヶ月を経ても治癒せず、一定の傷病等級に該当する場合に、休業給付に 換え支給される | 傷病特別支給金(傷病等級に応じ一時金)・傷病特別年金(傷病等級に応じ年金) |
障害給付 | 後遺障害1〜7級に対しては年金で、8〜14級に対しては一時金で支給される | 障害特別支給金(障害等級に応じ一時金)・障害特別年金(障害等級に応じ年金)・障害特別一時金 |
介護給付 | 要介護状態に対し、要した費用について限度額まで支給される。 最低保障額もある | 限度額・最低保障額は常時介護か随時介護かで異なる |
遺族給付 | 死亡に対し、受給資格者数に応じた年金が支給される。受給資格者が いない場合は他の遺族に一時金 支給。受給権は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で得ることとなり、先順位者の失権(死亡等)により次順位者が受給権を得る(転給制度) | 遺族特別支給金(一定額一時払い)・遺族特別年金・遺族特別一時金 |
葬祭給付 | 遺族または葬祭を執り行なった者へ支給される | (315,000円+日額×30)と(日額×60)の多い方 |
給付基礎日額は事由発生直前3ヶ月の1日当り平均賃金
太字の特別支給金はボーナスの額を算定の基礎として支給されるもので特別加入者には支給されません
<退職時の制度移行>
国保以外の健康保険が適用になっていた方が勤め先を辞めると、自動的にその被保険者資格を失います。すぐに再就職 する場合は新勤務先で加入手続きをとればよいのですが、当面の就職先が決まっていない場合や自営となる場合は、国保へ加入するか、 今までの健保の任意継続被保険者となるかを選択することとなります
在職時の保険料は会社が半分負担していますが、任意継続被保険者は全額自己負担となります。ただ、保険料計算 の基礎となる標準報酬月額は、原則として、退職時の自分の標準報酬月額と該当する団体の平均とを比較し、低い方で算出するので、保険料が単純に 倍増するとは限りません
国保の保険料は被保険者数(家族数)や前年所得に基づいて計算されるため、退職初年度は高額になりがちです。 よって、任意継続被保険者としての保険料と比較の上、選択することとなります。任意継続被保険者 になれるのは退職後2年間ですが途中でも脱退できます。退職の翌年になると前年所得が激減し国保の保険料の方が安くなる こともありますので、時機を見て再計算し、切り替えについて検討した方がよいでしょう
国保には被用者健保にある傷病手当や出産手当はありませんが、出産育児一時金(42万円)と葬祭費(5万円)は給付されます。 傷病手当は傷病により、出産手当は出産のために会社を休み、賃金の支払いがない場合に標準報酬月額の3分の2相当額が日割りで支給されるものです。 傷病手当は通算1年6ヶ月限度、出産手当は産前42日、産後56日の範囲が対象となっています
国保の保険料は保険者(市町村)によって異なりますが、低所得者や失業者・被災者などを対象とした軽減制度があるので、 該当の可能性がある場合は確認してください
<高額療養費制度>
次は医療費負担について確認します。高額療養費制度により、健康保険適用の治療については月の自己負担額に上限が設定されますが、 その額は年齢と所得により異なります
70歳未満については平成27年1月より <TOPICS>掲載の通り変更、 70歳以上は平成29年8月より段階的に変更となっています( » 別サイト参照 )
尚、70歳以上では、金額に関らず同一世帯員の分も含め、すべての医療費を合算して適用できますが、70歳未満は同一月21,000円を超える支払いについてのみ、 複数の医療機関、そして家族の分が合算対象となります
ここでは改定されなかった70歳以上の低所得者(住民税非課税世帯)について掲載します
区分 | 所得基準 | 総医療費の月負担上限 (世帯単位) |
外来の月負担上限 (個人単位) |
---|---|---|---|
低所得U | 下記以外 | 24,600円 | 8,000円 |
低所得T | 世帯全員が80万円以下の年金収入のみ | 15,000円 |
入院と外来は区別されるため、70歳未満ではその区分ごとに21,000円以上でなければ合算できません