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生命保険

加入目的と保険種類

生命保険に加入するときに、まず明確にしておきたいのが目的です。加入目的が明確になると、それに応じた 保険種類は自ずと限定されてきますし、それは必要補償額の計算根拠ともなります。 通常考えられる加入目的と、それに応じた保険種類は次のようになります

加入目的 保険種類
未成年の子がいて扶養者の万が一に備える 定期保険・逓減定期保険・こども保険
子どもは独立したが、万が一の際に配偶者などの遺族に生活費を遺す 終身保険・夫婦連生年金・遺族受け取りの終身年金
遺族の相続税支払い資金を遺す 終身保険
公平な遺産分割のため保険金を遺す 終身保険
長期入院や高額手術、あるいは特定疾病罹患時の出費に備える 医療保険・がん保険など
介護状態になった場合の出費に備える 介護保険
一定期間、死亡保障を受けながら貯蓄したい 養老保険
老後の年金を確保したい 年金保険

派生商品や組み合わせ商品、特約の形態をとるものなど様々ありますが、基本的な保険種類を挙げました。 また、5・6・8番については別のページで触れますし、貯蓄性の強い7番はここでは省略します

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加入目的と必要補償額

上記の加入目的に沿って必要補償額について考えてみます。尚、以下で共通して考慮したいのは、 遺族基礎年金や遺族厚生年金が給付される場合はそれを控除すべきこと、遺族自身の老齢年金などは控除すべきこと(併給調整注意)、 死亡に因る受給制度(死亡退職金など)がある場合はそれを控除すべきこと、他の保険がある場合はそれを控除すべきこと (ただし、受給の要件がケガのみなどと限定されているものは控除しない)、債務は原則として加算するが、団体信用生命保険に 加入済みの住宅ローンなどはその給付で完済されるので加算する必要がないこと、などです

1番で、とりあえず子が独り立ちするまでは万が一のことがあっても困窮せぬように、 という目的の場合は、 子の予定就職年までの生活費・学費の累計を補償額の目安とします。よってこの目的に限定すれば末子誕生時が最大で、末子独立により 必要がなくなります。必要補償額が漸減するので逓減定期保険は理にかなっていると言えます。 歳満期の収入(生活)保障特約も、この目的にマッチしたもので、分割払いになるので必要月額を設定することで管理もしやすい と言えます。こども保険(学資保険)には教育資金を積立しながら、 こどもの死亡・医療保障のほか、扶養者死亡時に育英年金を給付する商品などがあります

2番の目的の場合は、現時点の配偶者の余命年数に現時点の生活費の7割を乗じて算出 します。二人暮らしから 一人暮らしになることで生活費が軽減されるからです

3番の相続税資金については、特に不動産等に比べ金融資産が少なく、相続人に相続税支払い資金を遺せない場合に有効な手段となります。 必要補償額は相続税試算額と分割方法、資産の内容より算出します

4番は相続税は発生しないものの、資産が不動産などの分割しにくいもののみの場合に、 遺族間のトラブルとならないように 加入するものです。必要補償額は資産の内容、分割の割合・方法により異なりますが、遺留分に抵触せず、スムーズに分割できるように 手当します

必要補償額は時とともに変動するので、時折、保険金額についてチェックするとともに、できるだけ柔軟に 対応できるようにあらかじめ考慮しておく必要があります

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加入方法

加入目的から大まかな保険種類と必要補償額が決まれば、加入方法について細部の検討に入ります

<検討のポイント>

  1. 契約者を誰にするか
  2. 貯蓄を兼ねるのか
  3. 医療保障やがん・介護などの保障を特約として付帯するのか
  4. 定期保険の場合、長期で加入するのか、短期で更新型にするのか
  5. 予算との関係で保険料支払期間や支払い方法をどうするのか
  6. どこに加入するのか

上記ポイントについて補足します

1番については課税方法に影響します。死亡保険金の場合、自分を契約者とすれば(被保険者はもちろん自分)相続税の対象になりますし、 受取人名義で契約すれば、受取人の一時所得になります。この場合、受取人に保険料を贈与したことになります

2番については好みの問題ともいえますが、基本的には貯蓄と保障は分けて管理した ほうがよいでしょう。 満期返戻や期中払い戻しのある貯蓄型商品は当然ながら保険料が高いのですが、貯蓄のためのファンドと保障のためのコストが 明確に区分されないため、貯蓄利回りや保障コストの妥当性を判断をしにくいというデメリットがあります。 また、貯蓄型は長期契約になり、見直しの機会を失いがちになることも懸念されます

3番についてですが、医療(入院)保障やがん、介護などの保障は、死亡保険の特約として付帯するケースと、 単独で医療保険やがん保険・介護保険に加入するケースがあります。 死亡保障と医療やがん・介護の保障ニーズの増減曲線は一致しません。死亡保障ニーズは前掲、必要補償額の算出で 見たとおり、こどもの成長や配偶者の加齢とともに減少しますが、医療・がん・介護の保障ニーズは違います。若年時は病気の罹患率も低く、ケガをしても 短期間で治癒するケースが多いのですが、高齢になると様々な疾病の発症率が上がるとともに、治療期間も長期になりがちです。ケガや 病気での就労不能が即、収入減となる場合で、これを医療保障で補おうとすれば、働き盛りの年代での医療保障ニーズが高まりますが、 就労不能への備えとしては、損保で扱っている所得補償保険の方が条件に応じた設計がしやすいでしょう。死亡保障などへの 特約付帯とするか、単独加入にするかはニーズ状況、保険料、更に条件変更の容易性なども確認の上、検討することになります

4番については若年時に長期で加入すれば、長期間、安い保険料で補償が得られます が、見直しの機会を失ない かねません。メリットとデメリットを理解した上で状況に応じて判断することとなりますが、短期と長期をバランスよく組み合わせる という方法もあります

5番について言えば、都度の支払額を抑えたい場合は貯蓄型を避け、支払い期間を 長く、月払いで、という ことになりますし、逆に支払い余力があり総支払額を抑えたい場合は支払い期間は短く、年払いや一時払いで、 ということになりますが、契約によっては分割払いの期中で、一定の事由が生じた場合に以降の保険料支払いが免除されるケースが あるので確認が必要です

6番の契約先としては、従来の国内生損保、外資系生保、ネット及び通販中心の生保、 かんぽ生命、各種共済などがあります。それぞれの顧客対応力については一概に言えませんが、どうしても直接説明を聞きたい方は 対面販売の方がよいのでしょう。ネット販売の生保でも主要商品はそろっていますし、外務員などの募集経費がかからない分、 保険料が割安な傾向にあります。また、共済の中にはさらに割安なものもありますが、総合的な保障のパッケージ商品のみだったり(必要な保障のみを選択できない)、 加入または更新に年齢制限があるケースもあるので確認が必要です

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コラム/死亡保障と医療保障