2010/07/08
被保険者の死亡により生命保険会社が遺族に年金払いで保険金を支払う場合には、その年金受給権に相続税を課し、さらに実際に年金を 受け取った際に所得税を課してきた。しかし国税庁のこの運用が二重課税に該当するため無効との最高裁判決が出た。誰でも首を傾げたく なるような仕組みだったが「キマリだからしょうがない」と、合点が行かぬまま従わされてきた。今更とも言えるが、この訴訟・判決の意義は大きい
通常の死亡保険のみならず、学資保険(こども保険)、個人年金保険なども同様の取り扱いとなるはずである(損保や共済の商品を含む)。 これまでの過払い税は申告により還付されるが、税法上は5年しか遡及できない(さらに5年分遡及して還付すべく制度上の特別措置を検討中とのこと)
ただし、二重課税により還付の対象となるのは年金払いで受領した全額ではなく、相続税の対象となった評価額分である。その他の部分は運用益と みなされ所得税の対象となる。相続ばかりでなく贈与についても同様の取り扱いをしてきたので還付の対象となる。また、実際に相続税や贈与税が 発生しなかった場合でも、所得税の課税金額が訂正されるため還付対象となる。さらに所得税が還付されれば、それを算出根拠としている住民税や 国民健康保険料も減額となり、還付の可能性が出てくる。尚、定期金の評価方法は今年度見直されているが、本件による還付は従前の評価方法による 相当額分となる
他の金融商品にも同様に二重課税と思われるものがある。定期預金の場合、相続発生時に既経過分の利息をみなし相続財産として相続税の対象とし、 さらに実際に利息を受け取るときにも通常通り源泉徴収している。今後、これらも含め税制の改定が見込まれる
このたびの判決、そして運用の見直しにより年金払いの不合理さが無くなり、遺族の生活安定と資産管理の手間を考慮した この有効な手段を迷いなく活用できるようになった