2015/06/12
2月に「2015年度、64歳以下の介護保険料が9年ぶりに減額となる」との報道があった。ただ、これは平均値のことであり、保険料算出の基礎となるデータ等が保険者によって異なるため 具体的には各人が自らの保険者(健康保険組合・健康保険協会・市町村など)から提示されるのを待たなければならなかった
このたび、仙台市の平成27年度国民健康保険料が公表され、その内訳の1つである「介護分」が判明した。それによれば、所得割の料率が前年の2.98%から3.04%に、均等割が1人9,960円から 10,080円に、むしろアップしていることがわかった。平等割は1世帯8,160円で前年と同額になっている
そもそも2月発表の「減額」の根拠は「65歳以上(1号被保険者)の保険料負担割合を上げ、64歳以下(2号被保険者)の割合を下げるため」ということであった。具体的に言うと、介護給付費の 利用者負担分(1割)以外は税金と保険料から50%ずつ充当されているのだが、その保険料分の負担内訳を変えようということである。前年度までは29%を40〜64歳が、残る21%を65歳以上が負担していたが、 今年度からはそれぞれ28%と22%にするというものだ。さらに、今年度、介護事業者に支払われる介護報酬を2.27%引き下げることも保険料減額に寄与すると見込んだものらしい
他の保険者における状況は不明だが、仙台市についてみれば期待を裏切られた形となった。負担割合が低下しても、給付単価が下落しても、利用者増加による給付費の伸びには 太刀打ちできなかったということか
ところで、65歳以上はといえば、負担割合さえ増えるのだから、当然のことながらさらに高いアップ率となるのは想像できる。ただ、所得段階1と2の方については公費補助率アップ(50%→55%)により、 前年度より低下している。所得段階ごとの保険料は下表の通り。尚、これはあくまで仙台市の場合であり、所得段階区分・保険料とも保険者(市町村)により異なる
所得段階 | 平成26年度まで | 平成27年度から | 増減額 | ||
---|---|---|---|---|---|
係数 | 年額保険料 | 係数 | 年額保険料 | ||
1 | 0.50 | 30,800 | 0.45 | 29,600 | ▲1,200 |
2 | 0.50 | 30,800 | 0.45 | 29,600 | ▲1,200 |
3 | 0.65 | 40,100 | 0.65 | 42,800 | +2,700 |
4 | 0.75 | 46,200 | 0.75 | 49,400 | +3,200 |
5 | 0.85 | 52,400 | 0.85 | 56,000 | +3,600 |
6 | 1.00 | 61,700 | 1.00 | 65,900 | +4,200 |
7 | 1.10 | 67,800 | 1.10 | 72,500 | +4,700 |
8 | 1.25 | 77,100 | 1.25 | 82,400 | +5,300 |
9 | 1.50 | 92,500 | 1.50 | 98,800 | +6,300 |
10 | 1.65 | 101,800 | 1.65 | 108,700 | +6,900 |
11 | 1.85 | 114,100 | 1.85 | 121,900 | +7,800 |
12 | 2.00 | 123,400 | 2.00 | 131,800 | +8,400 |
単位:円
*所得段階の基準については<コラム>参照
ちなみに、64歳以下の平均保険料は、介護保険制度発足当時の2000年と比べ2.5倍となっており、如何に急激に上昇しているかがわかる