85歳以上の4人に1人は認知症を発症すると言われています。そうなれば、介護等に関する契約や財産の管理もおぼつかなくなり、不幸な 最期を迎えることになりかねません
認知症等により判断力が低下した場合、親族等の申し出により家庭裁判所が後見人を選任し、後見人はその低下度に応じて 一定の事項について一定の権限を与えられます。この法定後見制度に対し、判断力が低下する前に、低下した場合の後見人とその委任内容 を自ら決め、公正証書により契約して登記しておくのが任意後見制度です。低下したときに家裁は任意後見監督人を選任し、 後見人の業務がスタートします。任意後見監督人は任意後見人の業務状況をチェックします
任意後見は法定後見に優先しますが、任意後見人には法定後見人のような同意権・取消権がないため、訪問販売の被害に遭うような 状況になれば、家裁へ申し出て法定後見へ移行した方が良いでしょう
任意後見人は本人の判断力低下前や死後には権限行使できません。判断力低下と認定される前でも財産管理を委任したい場合は 財産管理委任契約を、死後の様々な事務を委任するには死後事務委任契約を締結します。判断力低下時に財産管理委任契約から任意後見契約に移行 させたり(必ずしも移行させる必要はない)、死亡時に死後事務委任契約に移行させたりすることも可能です。ただし、これらには監督人が付かないため チェック機能がなく、望む業務の完遂は保証されません
いずれにしても委任するに足る、心から信頼できる人がいるかどうかが最大の課題でしょう。自分より相当程度若く、利益が相反せず、 高い知識と人格を具えた人を選任すべきでしょう。報酬を支払って親族以外に委任する選択肢もあります