NISA−スタートから1年、実態は

2015/05/05

NISA制度運用開始から1年を経過した前年末段階での状況を、データをもとに検証します

2014年末の開設口座数は833万口座あまりと、20〜74歳人口を分母とすれば10人に1人という割合に迫りました

しかし、実際に稼動している口座は、その45%に過ぎないようです。あくまで個人としての想像ですが、未活用に終わった55%には金融機関に 勧められるままに開設した人や、とりあえず開設したものの購入商品を決めかねた人、タイミングを見ているうちに購入に踏み出せないまま年末を迎えた人、などが いらっしゃる者と思われます

2014年末の業態別口座保有シェアおよび稼働率は下表の通り(データは金融財政事情研究会・金融証券調査室の調べによるものです)

業態 シェア 稼働率
大手銀行 13.0% 44.9%
地方銀行 17.0% 46.4%
第二地方銀行 4.0% 41.7%
信金・ゆうちょ 3.2% 41.9%
その他金融機関 0.4% -
銀行計 37.6% 45.0%
証券5社 39.4% 39.4%
ネット証券5社 13.1% 60.1%
その他証券 13.6% -
証券計 62.4% 45.0%
総合計 100% 45.0%

シェアにおいては、投資信託しか取り扱えない銀行より、株式・ETF・J-REITなどにも投資できる証券会社のほうが圧倒的に優勢であるものと想像していましたが、思いのほか銀行が顧客を囲い込んでいる実態が 判明しました

しかし稼働率を見ると、銀行や大手証券は営業力で口座数を確保したものの、実際に投資させるに至っていないケースも多いようです。一方、ネット証券5社の場合は顧客が自らの意思で口座開設しているケースが多く、 それが稼働率の高さに反映しているのではないかと思量します

この顧客スタンスの違いは投資商品の違いにも表れているように思われます。銀行はもちろん投信のみですが、大手証券でも投信のほうが株式をやや上回っているのに比し、ネット証券5社では株式が投信の3.7倍を 超えています

さらに、年代別シェアにおいてもネット証券が他と異なるデータを残しています。全体では60歳代と70歳代の計で半数を占めるのに対し、ネット証券5社では50歳代までで76%に達します。 また、性別シェアで女性が男性を上回ったことも、あらためて女性の躍進を感じさせるものでした

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経済情勢には不安要素もありますが、今後、さらなる機関投資家の資金流入も期待されます。非課税メリットを享受できる制度はNISAだけではありませんが、投資をするなら選択肢の一つとして 検討に値する制度ではあると思われます