年金実態調査結果(厚労省)

2012/12/18

厚労省は国民年金の1号被保険者に係る実態調査を3年ごとに行っている。今般、2011年3月末時点の結果が発表されたので、以下に主な内容をまとめてみた

<保険料納付状況>

納付状況人数(千人)割合(%)対前回調査
納付者 8,435 48.6 −5.3ポイント
全額免除 2,290 13.2 +2.0ポイント
学生納付特例 1,714 9.9 +0.6ポイント
若年者納付猶予 381 2.2 +0.2ポイント
滞納者 4,551 26.2 +2.6ポイント
合計17,371100

*納付者(2009年度及び2010年度に一部でも納付)が50%割れ

<滞納者のデータ>

1.年代別滞納者割合

20〜24歳25〜29歳30〜34歳35〜39歳
21.5%34.3%35.4%30.3%
40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳
29.2%26.3%22.7%18.1%

*前回調査と比べ、すべての年代で滞納者割合が増加している

2.就業状況別の滞納者割合

無職者 臨時・パート 自営業主 家族従事者 常用雇用
37.9% 31.1% 12.5% 4.9% 10.3%

3.学生の12.3%が滞納(滞納理由)

学生納付特例制度を知らなかった 36.5%
手続きが面倒だから 25.7%

*学生納付特例制度を利用している人は62.1%、納付者は23.4%

4.滞納者に占める世帯所得別割合

世帯所得 200万円未満 300万円未満 400万円未満 500万円未満
割合 47.1% 18.1% 11.5% 7.3%
割合累計 47.1% 65.2% 76.7% 84.0%

*世帯所得500万円以上の滞納者も16%存在することがわかる

*滞納者には申請すれば免除となる人も存在すると思われる

5.納付しない理由

保険料が高く納付困難 74.1%
年金制度の将来が不安 10.1%

6.追納の意思なし:25.3%

7.国民健康保険の保険料納付率:76.2%(一部納付を含む)

*年金保険料は滞納しても健康保険料は納めている様子が窺える

*国保保険料の軽減措置を受けている割合

     申請全額免除者82.1%

     滞納者       30.7%

8.滞納者の生命保険・個人年金の掛け金負担

個人月額世帯月額
生命保険12千円22千円
個人年金14千円18千円

*年金制度の理解や優先順位の検討が不足していることが懸念される

<制度の周知度>

滞納者全額免除納付者全加入者
受給要件71.0%75.1%79.3%73.5%
年金額改定要領35.0%38.3%48.3%42.2%
障害年金49.8%59.1%56.0%54.1%
遺族年金58.8%65.7%65.9%62.2%
国庫負担31.9%36.7%34.6%33.4%
保険料控除制度41.2%43.3%65.3%51.7%
免除・猶予制度68.3%91.5%65.5%68.5%

<公的年金全体としてのデータ>

1.加入者数・受給者数

    加入者:6,775万人(前年度比51万人減)

    受給者:3,867万人(前年度比71万人増)

      *1.75人で1人を支える構造

2.平均受給額

    厚生年金受給者:152,396円(基礎年金を含む)

    基礎年金のみ  : 54,682円


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保険料納付率アップには収入アップと制度の信頼・周知がキーとなる。他の出費との優先順位の考え方も含め、FPがその「周知」に貢献できる余地がまだありそうだ