高齢者医療制度の改定案
2010/10/21
高齢者医療制度の改定案が厚生労働省より示された。新制度導入の2013年度まで紆余曲折もありうるが、医療費の動向と国家財政を考えれば
、指標として捉えておいてよいものと思われる
<新制度案>
- 70〜74歳の医療費自己負担割合を現在の1割から2割に引き上げる。ただし、13年度に70歳になる人から新制度を適用し5年かけて完全移行するため、
13年度期首71歳の人は1割負担を継続できる
- 75歳以上の人は後期高齢者医療制度から国保または被用者保険(協会けんぽ・共済組合・組合健保)に移行する(被扶養者になる場合を含む)。
現在の平均保険料63,000円が、
国保移行の場合で25年度には95,000円にアップする見通しだ。ただ、国保の場合でも被扶養者になる場合は本人負担がなくなり、世帯全体としても
負担は軽減される。被用者保険に移行する人は、被扶養者となる場合はもちろん、被用者本人の場合でも保険料は労使折半となるため通常は
負担減となる
- 財政上は引き続き75歳以上者を別枠で管理するが、高齢者の保険料負担が急激に増加するのを避けるため、75歳未満の国保加入者や
被用者保険の負担(高齢者医療への拠出)を増やすことを想定している。75歳未満の国保加入者の保険料は現在の90,000円が25年度には
129,000円に、協会けんぽの平均保険料も171,000円が243,000円にアップする。健保組合の平均保険料率も現在の7.45%(労使合計)が10.4%に上がるが
高齢者医療への拠出金額を加入者数基準から総報酬基準へ変更するため、給与水準が高い健保組合員ほど負担が増えそうだ
わが国では極端な高齢化が急速に進むため、医療費の急増と財政の逼迫を考慮すれば、どのような形であれ負担増は免れない。ライフプランを立てる上では
15年後には健康保険料が4〜5割増しになっていることを想定して計算しなければならない