介護施設の総量規制撤廃

2010/06/12

介護サービス費用がかさむのを避けるために政府は介護施設の総量を規制してきたが、このたび厚生労働省は2012年度から当該規制の撤廃 を決めた。施設が増え利用者数が増えればサービス費用が増加し、保険料引き上げに繋がる可能性もある。しかし、多くの入居待機者や その家族のことを思えば、誰しもがそのリスクを抱えているだけに総論では概ね承諾されるのではないか。税の配分と保険料の所得による負担 調整は更に検討すべきと思われる

しかし、国による規制が撤廃されても実際に施設が増えるかどうかは介護保険運営主体である広域連合のスタンスや、企業にとって その市場が魅力あるものかどうかに係ってくる。市町村の財政も逼迫しているが、「人」優先のスタンスと工夫で、安心して利用できる 施設を増やしてほしい

あらためて総量規制の内容と現状を大まかに見てみたい。政府は「要介護2以上の認定者のうち施設利用者を37%以下に抑える」という 指針を示した。現在、仙台市内の該当認定者は約16,200人。それに対し施設サービスの対象となる3施設(特別養護老人ホーム・介護老人 保健施設・介護療養型医療施設)の合計定員が5,200人で32%の充足率。療養型医療施設が極端に少なくなっていることもあって施設サービスの 利用割合は全国平均を下回っている

上記3施設に特定施設入居者生活介護の指定を受けた居住施設である養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム・ケアハウスを含めても 合計定員約6,770人であるから、半数以上の方が自宅に住まいながら居宅サービスを利用していることになる。また、その中の多くは ご家族の献身的な介護が支えとなっているものと思われる

トップページへ

現在、特別養護老人ホームの中には50人の定員に対し700人以上の入居待機者がいるところも珍しくなく、仙台市内では平均250人待ちとの こと。気が遠くなるような話だが、施設が増えて受入れ体制が出来たとしても入居にはかなりの経済的負担も伴うため計画的なファイナンスと 情報の収集は欠かせない