地震リスクへの対応
2011/03/25
3月11日の東日本大震災により多くの人の生活が奪われた。頻度の少ない災害に対してはどうしても脇が甘くなるが、今後のリスク対策について
この機会に考えたい
- 立地が根本的なキーになることは言うまでもない。津波を想定しなければならないことはこのたびの災害で思い知らされたが、内陸でも
断層や宅地造成プロセスを調査する必要がある。山を削った土地よりも、その土を埋めて造成した土地は地盤がゆるい傾向があるが、それよりも
その境界に当る場所は更に危険だ
- 建物構造が複雑だと局所に揺れの力が集中し、そこを起点として損害が発生しやすい。極力シンプルな箱型やシンメトリカルなものがよく、また、
採光や保温を考慮すればある程度やむを得ないとはいえ、できれば開口部(外部に開放できる窓・ドア)の面積も極端に偏らない方が良い
- 家具対策としては突っ張り棒などで固定することがまず想定されるが、それができない場合は置き場所を検討したい。人や他物への損傷を考慮することは当然だが、
できれば向きも建物の短辺と平行にする(長辺に向かっての揺れが大きくなる傾向がある)
- 地震保険は住宅部分のある建物とその収容家財にのみ加入できる。単独では加入できず火災保険に付帯して、その火災保険金額の50%まで加入でき、
保険料は全社共通だ。火災リスクに対しては廉価な「共済」が有用な選択肢なのだが、地震リスクに対してはJA共済が「建物更正共済」で50%まで
補償している以外は、20%程度など補償金額の制約が大きい。少額短期保険の日本震災パートナーズの地震補償は単独で加入できるものの保険料が高めで担保力にも不安が残る
- 住宅部分の無い建物は地震保険に加入できないが、火災保険の拡張担保で補償を得られる可能性がある。割増保険料も引受けスタンスも保険会社によって、また、地域によって
異なるので直接確認しなければならない
今からできることには限りがあるが、極力、損害防止に努めた上で、いざというときに備える必要がある。経済的なリスク対応としては緊急予備資金の蓄えと保険の組み合わせを
どう設定するかがポイントになる