2013/03/30
2013年税制改正法案が29日に可決・成立した。一般個人に係る項目についてのみ概略をまとめた
項目 | 内容 | ポイント・対処 |
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少額投資非課税制度の開始 (10%軽減税率の廃止) |
2014年1月〜2023年12月の10年間、毎年100万円までの新規投資について、配当や譲渡益が5年間(投資年の4年後の年末まで)非課税となる。非課税期限が来ても 保有している場合、それをロールオーバーできる。つまり新たな新規投資と見なしてもらえる。対象は上場株式等と投資信託。期限を過ぎると20%課税となる | 1年に100万円ずつ投資すれば5年目の年末には500万円まで非課税枠が積み上がる。その時点まで売却できなかった場合でも 更に5年間売却のチャンスを待てるし、その間非課税で配当も受取れる。今の上昇相場で保有株を一旦精算し、新年からこの新制度で再スタートするのも選択肢だろう |
住宅改修の優遇税制拡充 | 新築・新規取得の住宅ローン控除も限度額が引き上げられたが、ここでは改修関連のみ確認する 1.住宅ローン控除の拡充継続 2014年4月〜17年末までに改修・入居の場合、年末ローン残高250万円を限度にその2%を5年に渡り所得税から控除できる(現在は200万円限度)。対象となるのは省エネやバリアフリー化工事を含む 改修工事で、省エネ・バリアフリー工事以外の部分(1%控除)を含め125,000円まで控除できる 2.投資型減税の拡充 借入をせず、自己資金で改修した場合でも税額控除できる制度。上記と同様の期間に改修・入居した場合に、省エネは250万円(同時に太陽光発電装置を設置する場合は350万円)、 バリアフリー化は200万円、耐震は250万円を上限に、その工事費の10%を控除できる。いずれも限度額が現在よりも50万円アップした(2017年末まで) |
1:省エネやバリアフリー化工事を含めばよいので、他の要改修部分とあわせての利用も想定される 2:控除率が高いが、1が5年間 適用であるのに対し、単年度のみの控除制度となる 1、2とも上限はアップするが、ちょうどその時期から消費税増税もあるので、現在の限度額内でおさまる内容の工事であれば、むしろ14年3月までに済ませたほうがよいことになる |
相続税改定 | 課税対象額を算出する際の基礎控除額が4割減額となり、結果、増税となる(2015年1月より適用) | 相続税対策を要する層が拡大した。遺族の争いを排除するための分割対策のみならず、いよいよ税対策についても早めに検討する必要が生じてきた |
贈与税改定 | 1.相続時精算課税制度の改定 贈与者の年齢制限を65歳以上から60歳以上に引下げ、受贈者に「20歳以上の孫」が追加された(2015年1月から) 2.税率の2テーブル制スタート 直系尊属からの贈与には、他の一般贈与とは異なる低い税率が適用されることとなった(2015年1月から) 3.教育資金一括贈与の非課税措置 30歳未満の直系卑属に対する教育資金を信託の形で金融機関に預けた場合、1500万円まで(うち学校以外に支払われるものは500万円まで)贈与税非課税となる (2013年4月〜2015年12月) |
1について 孫は相続税2割加算の対象となるため、安易に孫に巨額を贈与をすると、トータルの相続税が増える可能性があるので留意したい 2について 若年世代への資産移行を促す措置である。相続対策として現在よりも有利になる 3について 30才到達時に残余金があれば、その時点でその残余金に贈与税が課税される |
印紙税改定 | 現在は3万円以上の領収証に必要な収入印紙が、2014年4月以降は「5万円以上」となる(100万円まで200円) | 最初はもらった領収証を見て「あれっ」と思うかもしれない。自営業の方は必要のないものにまで貼らないように |
2014年4月には消費増税が控えているが、生活防衛のためには他の税制もよく承知し、利用できる優遇制度はないか、事前対策を要するものがないか、よく検討する必要がある